腰痛が内臓から発生していた患者さんの話
先日、長年腰痛に悩まれていた70代の女性が来院されました。
痛みは主に左の腰、背骨でいうと3番目から4番目あたりに違和感を感じるとのことでした。
触診を進めていく中で、意外なポイントに強い緊張が見つかりました。
それは、左の下腹部。おへその左下あたりに位置するお腹の深部の筋肉に、強い硬さと動きの悪さがあったのです。
実はこの方、10年の間に2度ほど「虚血性大腸炎」という腸の病気を経験されており、
その炎症部位はちょうど、下行結腸からS状結腸と呼ばれる、左下腹部に位置する部分だったのです。
そこで、お腹の筋肉をやさしく緩める施術を行ったところ、左の腰の痛みがその場で軽くなりました。
ところがその夜、少し腹部に違和感が出たとのこと。
しかし不眠気味だったにも関わらず、その日はぐっすり眠れたそうです。
そして翌朝にはお腹の痛みも腰の痛みもすっかりなくなっていたとのこと。
再来された本日、体を確認すると、以前あった下腹部の緊張も、腰の張りもほとんど感じられない状態でした。
このように、腰が痛いからといって、必ずしも腰そのものが原因とは限りません。
腸の炎症や過去の病気が、体の奥深くの膜や筋肉を通じて、腰の筋肉に影響を及ぼしていたと考えられます。
お腹と腰は、想像以上に深いところでつながっています。
だからこそ、表面の痛みだけにとらわれず、体全体を見ていくことが大切です。



