産後に腰回りが大きくなったのは筋力不足?「鍛える前」に考えたい体の使い方
産後、
「妊娠前のズボンが入らなくなった。」
「体重は戻ったのに腰回りだけ大きい。」
「お尻が横に広がった気がする。」
「骨盤が開いたまま戻っていない気がする。」
このようなお悩みを抱えている女性は少なくありません。
そこで、「筋肉が落ちたから筋トレをしよう」と考える方も多いと思います。
もちろん、妊娠・出産後に適切な運動を行い、筋力を回復させることは大切です。
しかし産後の体については、単純に「筋肉が減ったから鍛える」という考え方だけでは十分ではありません。
大切なのは、筋肉を増やすことより先に、
「今ある筋肉を正しく使えているのか?」
という視点を持つことです。
産後は「筋肉がない」のではなく「うまく使えない」ことがあります
妊娠すると、お腹は数か月かけて大きくなっていきます。
それに伴い、腹部の筋肉は引き伸ばされ、姿勢や重心も大きく変化します。
さらに出産では、骨盤底筋をはじめとした骨盤周囲の組織にも大きな負担がかかります。
そして産後すぐに妊娠前の生活へ戻れるわけではありません。
授乳、抱っこ、おむつ交換、寝かしつけなど、それまでとはまったく違った体の使い方が始まります。
このような変化が重なることで、筋肉そのものが存在していても、本来の働きを十分に発揮できなくなっていることがあります。
特に注目したいのが、
・下腹部の筋肉
・内転筋(内ももの筋肉)
・骨盤底筋
・お尻周囲の筋肉
などです。
これらは骨盤や股関節を安定させるうえで重要な役割を持っています。
なぜ腰回りが横に広がって見えるのでしょうか?
産後に腰回りが大きくなったと感じると、
「骨盤が開いてしまった。」
と考える方が多いと思います。
しかし、骨盤そのものが何cmも大きく開いているとは限りません。
実際には、姿勢や股関節周囲の筋肉の働きが変化することで、腰回りのシルエットが変わっていることがあります。
例えば、下腹部や内転筋などがうまく働かなくなると、立った時に股関節を安定させにくくなります。
すると、
足幅が広くなる。
つま先が外側を向く。
歩く時に足が外へ流れる。
いわゆる「がに股」のような姿勢になる。
このような変化が現れることがあります。
その結果、太ももの骨の外側にある「大転子」という部分が目立ちやすくなり、
「お尻が横に広がった。」
「腰回りが大きくなった。」
と感じることがあります。
つまり、体重や脂肪だけではなく、股関節の使い方や姿勢そのものが体型に影響している可能性があるのです。
だから、いきなり強い筋トレをする必要はありません
腰回りを細くしたいと思った時、
スクワットをする。
腹筋運動をする。
お尻を鍛える。
こうしたトレーニングを始める方は多いでしょう。
もちろん、適切に行えば非常に良い運動です。
しかし、重要なのは「どの筋肉を使っているのか」です。
例えば、本来使いたい内ももやお尻が十分に働かない状態でスクワットを繰り返せば、すでに使い過ぎている筋肉ばかりがさらに頑張ってしまうことがあります。
だからこそ、
「弱いから鍛える」
ではなく、
「なぜ使えていないのか?」
を考えることが重要なのです。
硬い筋肉を緩めるだけでも不十分です
反対に、産後のケアでは「硬くなった筋肉を緩めればいい」と考えることもあります。
これも半分は正しいのですが、それだけでは十分とは言えません。
例えば、股関節の外側が硬くなっているのであれば、その緊張を和らげることは必要です。
しかし、緩めた後に内転筋や腹部、骨盤底筋などが働かなければ、体は再び元の使い方へ戻ってしまう可能性があります。
大切なのは、
硬くなったところを動きやすくする。
↓
使えていない筋肉を働かせる。
↓
正しい状態で立つ・歩く・しゃがむ。
という流れです。
施術と運動は、どちらか一方だけではなく、それぞれの役割があります。
産後の体型改善は「筋肉量」だけを見ないことが大切です
産後の体型変化というと、
体重や体脂肪率ばかりに目が向きやすくなります。
しかし、体重が妊娠前まで戻ったにもかかわらず、
「なぜかズボンがきつい。」
「腰回りだけ戻らない。」
という方もいます。
この場合、単純な脂肪の問題だけではなく、
姿勢や股関節の位置、筋肉の使い方なども確認する必要があります。
数字だけでは分からない変化が、産後の体には起こっているのです。
当院では「骨盤を閉じる」ことを目的にはしていません
当院では、いわゆる「骨盤矯正」という言葉だけで産後の体を判断することはありません。
骨盤そのものを無理に動かすのではなく、
股関節が正常に動いているか。
腹部の筋肉が働いているか。
内転筋が使えているか。
お尻の筋肉が過剰に緊張していないか。
左右差が大きくなっていないか。
こうした部分を確認していきます。
必要に応じて硬くなっている筋肉や関節を施術し、そのうえで使えていない筋肉が働きやすい状態をつくっていきます。
産後に必要なのは「鍛える」だけではなく「使える体に戻す」こと
産後の体に筋力トレーニングが必要ないということではありません。
むしろ、必要な方には運動も非常に大切です。
しかし、その前に考えてほしいのが、
「その筋肉、本当に使えていますか?」
ということです。
動きにくい関節は動きやすくする。
緊張し過ぎている筋肉は緩める。
使えていない筋肉には、もう一度働いてもらう。
そして最後に、必要な筋力をつけていく。
この順番を意識することで、ただ闇雲に筋トレを続けるよりも、その方の体に合った産後ケアにつながります。
「体重は戻ったのに腰回りだけ戻らない。」
「産後からお尻が横に広がった気がする。」
「骨盤が開いたように感じる。」
そんな方は、単純な筋力不足と決めつける前に、一度ご自身の姿勢や股関節、筋肉の使い方を確認してみてください。
産後の体に必要なのは、ただ筋肉を増やすことではありません。
妊娠・出産によって変化した体を、もう一度「正しく使える状態」へ戻していくこと。
それが、産後の腰回りや姿勢を整えるための大切な第一歩です。



