子どもの習い事に水泳がおすすめな理由とは?成長期の身体づくりから考えるメリット
先日、患者様からこのようなご質問をいただきました。
「子どもに何か運動を習わせたいと思っているのですが、何がおすすめですか?」
子どもの習い事には、さまざまな選択肢があります。
サッカー。
野球。
体操。
ダンス。
武道。
そして水泳。
どの運動にも、それぞれ良いところがあります。
その中で、身体づくりという視点から考えた時に、私がおすすめしたのが「水泳」です。
水泳は、ただ泳げるようになるための習い事ではありません。
全身運動であり、体幹、肩関節、股関節、呼吸、持久力など、成長期の身体に幅広く刺激を入れることができる運動です。
水泳は全身を使う運動です
水泳では、腕だけ、足だけを使うわけではありません。
肩。
背中。
お腹。
腰。
股関節。
太もも。
ふくらはぎ。
身体全体を連動させながら前へ進んでいきます。
陸上では、どうしても特定の部位ばかりを使いやすい運動もあります。
一方、水泳では水の抵抗を受けながら全身を動かすため、身体全体にバランスよく刺激が入りやすいという特徴があります。
成長期の子どもにとって、さまざまな部位を協調させながら動く経験はとても大切です。
身体の使い方を覚えるという意味でも、水泳は非常に優れた運動の一つです。
水の中では体幹を自然に使います
水泳の大きな特徴の一つが、体幹への刺激です。
水の中でまっすぐ進むためには、身体が左右にぶれすぎないように安定させる必要があります。
少し身体が傾くだけでも、水の抵抗を受けて進みにくくなります。
そのため、
身体をまっすぐ保つ。
左右へのブレを抑える。
手足の動きに合わせて身体の中心を安定させる。
こうした動作を自然と繰り返すことになります。
つまり、
「体幹トレーニングをしよう」
と意識しなくても、泳ぐことそのものが体幹への刺激になるのです。
体幹が安定すると、
立つ。
歩く。
走る。
ジャンプする。
といった基本的な動作も行いやすくなります。
また、姿勢を保つための筋肉にも刺激が入るため、成長期の身体づくりという意味でも大きなメリットがあります。
肩関節や股関節を大きく使えることもメリットです
水泳では、肩関節や股関節を大きく動かします。
例えばクロールでは、腕を大きく回しながら前へ進みます。
背泳ぎでも同様に、肩関節を大きく動かします。
平泳ぎでは、股関節を開いたり閉じたりしながらキックを行います。
このように、日常生活ではなかなか使わない大きな関節運動を自然と繰り返すことができます。
子どもの頃から、
肩を大きく動かす。
股関節をしっかり使う。
身体をひねる。
全身を伸ばす。
といったさまざまな動きを経験しておくことは、身体の動かし方を身につけるうえでも重要です。
ただし、「水泳をすれば必ず関節が柔らかくなる」というわけではありません。
大切なのは、成長期のうちから身体をさまざまな方向へ動かす経験を増やすことです。
水泳は、その機会を自然につくりやすい運動だと考えています。
呼吸を意識する習慣が身につきます
水泳では、陸上とは違った呼吸の仕方が必要になります。
水中ではいつでも好きなタイミングで息を吸えるわけではありません。
息を吐く。
顔を上げる、または横を向く。
息を吸う。
再び水中へ戻る。
このリズムを泳ぎながら繰り返していきます。
そのため、呼吸と身体の動きを合わせる能力も必要になります。
さらに、水中では水圧が胸郭にかかります。
その環境の中で呼吸を行うことで、呼吸に関わる筋肉にも刺激が入りやすくなります。
継続的に泳ぐことで、心肺持久力の向上も期待できます。
子どもの健康づくりにおいて、呼吸機能や持久力を高めることは非常に大切です。
水泳は関節への衝撃が比較的少ない運動です
水中では「浮力」が働きます。
そのため、陸上で走ったりジャンプしたりする時と比べて、足首や膝、股関節などにかかる衝撃を抑えながら身体を動かすことができます。
もちろん、水泳にも肩や腰などへの負担はあります。
しかし、地面から強い衝撃を受けながら運動するスポーツとは違った特徴があります。
「運動はさせたいけれど、いきなり強い衝撃のあるスポーツは心配」
という場合にも、水泳は比較的取り入れやすい運動の一つです。
泳げることは「身体能力」だけではなく安全にもつながります
水泳を習うメリットは、身体づくりだけではありません。
泳げることそのものが、水辺での安全につながる可能性があります。
海。
川。
プール。
学校行事。
旅行。
生活の中では、水に触れる機会が意外と多くあります。
その時に、
水に顔をつけることができる。
水に浮くことができる。
呼吸を確保できる。
少しでも自分で移動できる。
こうした経験があることには大きな意味があります。
もちろん、泳げるからといって水難事故を防げるわけではありません。
海や川では流れや水温など、プールとはまったく違った危険があります。
ライフジャケットの着用や、大人の見守りなど、安全対策が最優先です。
それでも、水への恐怖心を減らし、基本的な水中動作を身につけておくことは、自分の身を守る能力の一つになります。
「水泳だけやればいい」というわけではありません
ここまで水泳のメリットをお伝えしてきましたが、
「子どもの運動は水泳が一番」
と言いたいわけではありません。
子どもの身体づくりで大切なのは、さまざまな動きを経験することです。
走る。
跳ぶ。
投げる。
蹴る。
登る。
ぶら下がる。
泳ぐ。
いろいろな動きを経験することで、身体の使い方は少しずつ豊かになっていきます。
水泳は非常に良い運動ですが、それだけですべての運動能力が身につくわけではありません。
外遊びや他のスポーツなども組み合わせることで、より多様な身体経験につながります。
一番大切なのは「子ども自身が楽しめること」
習い事を選ぶうえで、身体へのメリットだけを考えてしまうと、
「身体に良いから続けなさい」
という形になってしまうことがあります。
しかし、子どもにとって何より大切なのは、
「楽しい」
「またやりたい」
と思えることです。
楽しいから続けられる。
続けるから上達する。
上達するからさらに楽しくなる。
この循環が、結果として身体の成長にもつながっていきます。
もし水が苦手で、毎回強いストレスを感じているのであれば、無理に水泳を続ける必要はありません。
サッカーが好きならサッカー。
ダンスが好きならダンス。
体操が好きなら体操。
その子が夢中になれる運動を見つけることも非常に大切です。
まとめ
子どもの習い事として水泳には、
全身を使える。
体幹へ自然に刺激が入る。
肩関節や股関節を大きく動かせる。
呼吸を意識できる。
心肺持久力を高めやすい。
関節への衝撃を抑えながら運動できる。
水に慣れることで安全面にもつながる。
といった多くのメリットがあります。
そのため、
「子どもに何か運動を始めさせたいけれど、何を選べばよいか分からない」
という方には、水泳は一つの有力な選択肢になると思います。
ただし、最終的に一番大切なのは、その運動をお子さん自身が楽しめることです。
身体に良い運動を押しつけるのではなく、いろいろな運動を経験させながら、
「この運動が好き」
と思えるものを一緒に見つけてあげること。
それが、子どもが長く身体を動かし続けるための一番大切な土台になると当院では考えています。



