女性と子供のための整骨院

「治る」とはどういう状態?施術前に患者様とゴールを共有する大切さ

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「以前、病院で手術をしたけれど、全然治らなかった」

「前に通っていた整骨院で膝が良くなると言われたけれど、結局良くならなかった」

患者様から、このようなお話を伺うことがあります。

もちろん、本当に症状がほとんど変わらなかったケースもあります。

しかし、詳しくお話を聞いていくと、

手術前にあった激しい痛みは軽減している。

以前あった強いしびれは減っている。

歩ける距離は伸びている。

以前できなかった動作ができるようになっている。

このように、実際には身体の状態が改善していることも少なくありません。

それでも患者様自身は、

「治らなかった」

と感じています。

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。

大きな理由の一つが、

患者様と医療者・施術者の間で「治る」という言葉の意味が共有されていないこと

だと考えています。

「良くなる」と「元通りになる」は同じではありません

身体の施術や治療について考える時、

「改善する」

「治る」

「元通りになる」

これらは、必ずしも同じ意味ではありません。

例えば、膝の骨に大きな変形がある方がいたとします。

整骨院で筋肉や関節周囲の組織にアプローチすることで、

痛みが軽減する。

膝が動きやすくなる。

歩きやすくなる。

階段の昇り降りが楽になる。

このような変化が起こる可能性はあります。

しかし、それは、

「変形した骨そのものが元の形に戻った」

という意味ではありません。

骨そのものに明らかな構造変化がある場合、それを手技によって元通りの形にすることはできません。

ここを説明せずに、

「膝が良くなります」

とだけ伝えてしまうと、患者様は、

「骨の変形まで治る」

「完全に正常な膝へ戻る」

という意味に受け取ってしまうかもしれません。

その結果、痛みは改善しているにもかかわらず、

「変形が残っているから治っていない」

という認識のズレが生まれてしまいます。

手術をしても症状が完全にゼロになるとは限りません

これは手術についても同じです。

手術には、それぞれ目的があります。

神経への圧迫を軽減する。

損傷した組織を修復する。

関節を安定させる。

変形した関節を人工関節へ置き換える。

こうした目的に対して手術が行われます。

そして実際に、

激痛が大幅に減った。

しびれが軽くなった。

歩行能力が改善した。

日常生活が送りやすくなった。

という大きな変化が得られることがあります。

しかし、手術を受ければ必ずすべての痛みや違和感が完全に消えるとは限りません。

症状が長期間続いていた場合や、複数の組織が関係している場合には、一部の症状が残ることもあります。

もし患者様が、

「手術をすれば完全に元の身体へ戻る」

と思っていた場合、

大幅に症状が軽減していても、残った症状だけに注目して、

「手術をしたのに治らなかった」

と感じてしまうことがあります。

だからこそ、治療や施術を始める前の説明がとても重要です。

痛みが減ることだけが「改善」ではありません

身体の改善を評価する方法は、痛みの強さだけではありません。

例えば、

以前より長く歩けるようになった。

階段を使えるようになった。

夜中に痛みで目が覚めなくなった。

仕事を最後までできるようになった。

子どもを抱っこできるようになった。

買い物へ行けるようになった。

こうした日常生活の変化も、大切な改善です。

痛みが10から0にならなくても、

10だった痛みが3になり、以前できなかった生活ができるようになった。

それは身体にとって非常に大きな変化です。

もちろん、患者様が痛みを完全になくしたいと希望すること自体は当然です。

しかし、その身体の状態によって、

完全な消失を目指せるケース。

症状を軽減しながら生活機能を高めていくケース。

今以上の悪化を防ぐことが大切なケース。

目標はそれぞれ違います。

だからこそ、その方にとって何を「治る」とするのかを最初に確認する必要があります。

高齢の方や長期間症状が続いている方ではゴールが変わることもあります

例えば、長年の変形や手術歴がある方の場合、

身体を20代、30代の頃とまったく同じ状態へ戻すことが現実的ではない場合もあります。

そのような方に対して、

「完全に元通りにします」

と説明するのは適切ではありません。

それよりも、

今より痛みを減らす。

関節の動きを維持する。

歩ける状態をできるだけ長く保つ。

転倒しにくい身体を作る。

自分でできる生活動作を維持する。

こうした目標の方が、その方にとって大切なこともあります。

治療や施術では、

何でも治すことではなく、その方の身体に対して現実的に何を目指せるのかを考えること

が重要です。

「できること」と「できないこと」を説明する責任

施術者として大切なのは、

「これをすれば良くなります」

という説明だけではないと考えています。

何が改善できる可能性があるのか。

何が施術では変えられないのか。

どこまでの改善を目指すのか。

必要であれば医療機関での検査や治療が必要なのか。

こうした部分まで説明する必要があります。

例えば、

筋肉の緊張。

関節の動き。

神経の滑走性。

身体の使い方。

こうした機能的な部分に対して施術を行うことはできます。

一方で、

変形した骨を元の形へ戻す。

損傷した組織を手技だけで完全に再生させる。

重篤な疾患そのものを治療する。

こうしたことは整骨院の施術で行えるものではありません。

できることとできないことを明確にすることも、患者様との信頼関係を作るうえで非常に重要です。

患者様と施術者が違うゴールを見ていると施術はうまくいきません

例えば施術者が、

「歩行時の痛みを半分程度まで減らし、30分歩ける状態を目標にしよう」

と考えているとします。

一方で患者様が、

「数回施術を受ければ骨の変形までなくなり、完全に痛みがゼロになる」

と思っていたとします。

この場合、施術によって歩ける距離が大きく伸びても、患者様は満足できない可能性があります。

それは身体が改善していないからではありません。

最初から見ているゴールが違っていたからです。

だからこそ、

今どのような状態なのか。

何が症状に関係していると考えられるのか。

何を改善していくのか。

どの程度の変化を目標とするのか。

施術を進めながら患者様と共有していく必要があります。

身体の変化を患者様自身にも理解していただく

当院では、単純に、

「良くなりましたね」

と伝えるだけではなく、患者様自身にも身体の変化を確認していただくことを大切にしています。

例えば、

最初はここまでしか動かなかった。

以前はこの動作で痛みが出ていた。

以前は10分しか歩けなかった。

この方向には動かせなかった。

こうした施術前の状態と現在の状態を比較します。

すると患者様自身も、

「まだ痛みは少しあるけれど、確かに前より動いている」

「そういえば夜の痛みはなくなった」

「以前より歩けるようになっている」

と身体の変化に気づくことができます。

この確認は非常に大切です。

施術者だけが「良くなっています」と判断するのではなく、

患者様自身が身体の変化を理解する。

そのうえで次の目標を一緒に考えていく。

それが理想だと考えています。

「治す人」と「治してもらう人」ではなく、一緒に改善を目指す

身体の改善は、施術者だけで作るものではありません。

施術によって身体を動きやすくする。

患者様自身が日常生活で身体を使う。

必要に応じて運動やセルフケアを行う。

生活習慣を見直す。

そして身体の変化を確認する。

この繰り返しによって少しずつ改善を目指していきます。

そのためには、

患者様と施術者が同じゴールを共有していること

が非常に重要です。

当院がコミュニケーションを大切にしている理由

当院では、施術そのものと同じくらい、患者様とのコミュニケーションを大切にしています。

なぜなら、

「どこが痛いですか?」

という質問だけでは、その方が本当に求めているものは分からないからです。

痛みをなくしたいのか。

仕事に復帰したいのか。

旅行へ行きたいのか。

子どもを抱っこしたいのか。

スポーツへ戻りたいのか。

自分で歩ける状態を維持したいのか。

患者様によって目標は違います。

だからこそ、一人ひとりのお話を聞きながら、

今の身体の状態。

改善している部分。

まだ残っている問題。

これから目指すところ。

これらを確認しながら施術を進めています。

まとめ

「治る」という言葉は、とても曖昧な言葉です。

痛みが完全になくなることを「治る」と考える方もいれば、

普通に生活できるようになることを「治る」と考える方もいます。

だからこそ重要なのは、

患者様と施術者が「何をもって改善とするのか」を共有することです。

骨の変形が残っていても、痛みや動きが改善することはあります。

手術後に一部の症状が残っていても、手術によって大きく改善している部分があることもあります。

反対に、症状が軽減していても患者様が目指している生活へ戻れていなければ、まだ十分な改善とは言えないこともあります。

身体は単純に、

「治った」

「治っていない」

の二つだけで評価できるものではありません。

今どこまで改善しているのか。

何が残っているのか。

これからどこを目指すのか。

それを患者様と一緒に確認しながら施術を進めていく。

当院では、このコミュニケーションを大切にしながら、一人ひとりの身体と向き合っています。