デスクワークで首・肩・腰がつらくなる理由|姿勢だけでなく「呼吸」と「座りっぱなし」に注意
月末月初になると、普段より事務作業が増え、パソコンに向かう時間が長くなる方も多いと思います。
普段は身体を動かす仕事をしている方でも、数時間パソコン作業を続けると、
「首が重い」
「肩が固まる」
「腰がつらい」
「目が疲れる」
「なんとなく呼吸が浅い」
このような変化を感じることがあります。
実際、パソコン作業に集中していると、無意識のうちに呼吸が浅くなったり、息を止めるような瞬間が増えたりすることがあります。
さらに姿勢も少しずつ前へ崩れ、
頭が前に出る。
肩が内側に入る。
背中が丸くなる。
胸郭が動きにくくなる。
腰や股関節も動かなくなる。
という状態になりやすくなります。
つまり、デスクワークによる身体の負担は、単純に「姿勢が悪いから」という一言では説明できません。
集中すると、なぜ呼吸が浅くなりやすいのか
人は何かに強く集中している時、身体も緊張しやすくなります。
仕事。
勉強。
パソコン作業。
スマートフォン。
こうした作業に夢中になると、呼吸の回数や大きさが小さくなりやすくなります。
特に前かがみの姿勢では、胸やお腹まわりが圧迫されやすく、胸郭の動きも小さくなります。
すると、
深く息を吸いにくい。
肩で呼吸する。
首周りの筋肉まで呼吸を助けるために働く。
という状態になることがあります。
その結果、首や肩周囲の緊張がさらに強くなることがあります。
「呼吸が止まる」というより、呼吸が小さくなることがあります
集中している時に、
「気づいたら息を止めていた」
という経験がある方もいると思います。
ただし、ずっと完全に呼吸が止まっているわけではありません。
実際には、
呼吸が浅くなる。
息を止める瞬間が増える。
呼吸のリズムが乱れる。
という状態が起こりやすくなります。
この状態が短時間であれば大きな問題ではありません。
しかし、何時間もパソコンに集中していると、身体はその姿勢と呼吸の状態を長時間続けることになります。
すると首、肩、背中、腰などへ負担が蓄積しやすくなります。
デスクワークでは胸郭が動きにくくなります
呼吸をするときには、肺だけが動いているわけではありません。
肋骨や胸骨、背骨などで構成される「胸郭」も動いています。
息を吸うと胸郭が広がり、
息を吐くと小さくなる。
この動きによって呼吸が行われています。
しかし長時間前かがみで座っていると、胸郭の動きが小さくなりやすくなります。
さらに、
胸の筋肉が硬くなる。
背中が丸くなる。
肩甲骨が動きにくくなる。
という変化も起こります。
その結果、ますます呼吸が浅く感じやすくなることがあります。
20〜30分程度の座位でも身体には変化が起こります
長時間の座りっぱなしは、首や肩だけの問題ではありません。
座っている時間が長くなると、下肢の筋肉をほとんど使わなくなります。
歩いている時には、ふくらはぎなどの筋肉が収縮して血液の循環を助けています。
しかし座りっぱなしになると、この筋ポンプの働きも少なくなります。
研究では、30分程度の座位でも下肢の血流や血管反応に変化がみられた報告があります。
そのため、
「2時間座ったから身体に悪い」
というより、
もっと早い段階から少しずつ身体に変化が起こっていると考えた方がよいでしょう。
ただし、
「20分を超えた瞬間に血行不良になる」
という明確な境界線があるわけではありません。
大切なのは、
長時間、同じ姿勢を続けないこと
です。
良い姿勢をずっと維持するのは現実的ではありません
デスクワークによる身体の不調について、
「姿勢を良くしましょう」
と言われることは多いと思います。
もちろん姿勢を意識することは大切です。
しかし、
何時間も背筋を伸ばし続ける。
常に肩を後ろへ引いておく。
頭の位置を一切崩さない。
というのは現実的ではありません。
人間の身体は、本来動くようにできています。
どれだけ良い姿勢でも、同じ姿勢を何時間も続ければ身体は疲れます。
そのため、
「ずっと良い姿勢を維持する」
ことよりも、
姿勢をこまめに変えること
の方が重要です。
大切なのは「崩れないこと」ではなく「固まらないこと」
パソコン作業に集中すれば、少しずつ前かがみになります。
これはある程度仕方のないことです。
問題は、
その姿勢のまま1時間、2時間と動かなくなることです。
そのため、
20〜30分に一度。
深呼吸をする。
肩を回す。
腕を上げる。
背伸びをする。
足首を動かす。
一度立ち上がる。
少し歩く。
こうした小さな動きを入れることが大切です。
数分間しっかり運動する必要はありません。
数十秒でも、同じ姿勢から一度抜けるだけで構いません。
眼精疲労も首や肩の負担につながります
デスクワークでは目の疲れも無視できません。
長時間画面を見続けると、
まばたきが減る。
目が乾燥する。
ピント調節を続ける。
画面を見ようとして頭が前へ出る。
といったことが起こります。
目が疲れると、無意識のうちに顔を画面へ近づける方もいます。
すると頭の位置がさらに前へ出て、首や肩への負担が増えます。
そのため身体を動かすだけでなく、
時々画面から目を離す。
遠くを見る。
目を閉じる。
ということも大切です。
デスクワークの方におすすめしたい簡単な対策
最も簡単なのは、
「20〜30分に一度、身体を一度リセットする」
ことです。
例えば、
一度ゆっくり息を吸って吐く。
胸を軽く開く。
肩を数回回す。
背伸びをする。
足首を動かす。
立ち上がって数歩歩く。
これだけでも構いません。
仕事を中断するというより、
身体を一度動かしてから再び集中する
という感覚です。
長時間座る方ほど「運動する時間」より「動かない時間」を減らす
健康のためには運動が大切です。
しかし、
「仕事が忙しくてジムへ行く時間がない」
という方も多いと思います。
そのような場合でも、何もできないわけではありません。
1時間座りっぱなしになるところを途中で一度立つ。
エレベーターではなく階段を使う。
トイレへ行く時に少し歩く。
電話中だけ立つ。
こうした小さな行動でも、身体を動かす時間を増やすことができます。
特にデスクワークでは、
運動する時間を増やすことと同時に、
動かない時間を減らすこと
も大切です。
当院では姿勢だけでなく呼吸や身体の動きも確認します
デスクワークによる首や肩、腰の症状がある方に対して、
「姿勢が悪いですね」
だけで終わらせることはありません。
胸郭が動いているか。
肩関節や肩甲骨が動いているか。
首周囲が過剰に緊張していないか。
股関節が硬くなっていないか。
呼吸が浅くなっていないか。
身体全体を確認します。
長時間のデスクワークでは、一つの場所だけではなく、身体全体の動きが少なくなっていることが多いからです。
まとめ
デスクワークで身体がつらくなる原因は、
「姿勢が悪い」
だけではありません。
集中によって呼吸が浅くなる。
前かがみになる。
胸郭が動きにくくなる。
首や肩が緊張する。
腰や股関節が動かなくなる。
下肢の筋肉を使わなくなる。
目も疲れる。
こうした要素が重なっています。
そして、
良い姿勢をずっと維持することは現実的ではありません。
だからこそ大切なのは、
崩れないことではなく、崩れたまま固まらないこと。
20〜30分に一度、
深呼吸をする。
背伸びをする。
肩を回す。
一度立つ。
少し歩く。
その小さな習慣が、首や肩、腰への負担を減らすために非常に大切です。
仕事に集中している時ほど、自分の呼吸や姿勢には気づきにくくなります。
だからこそ意識的に一度身体を動かし、呼吸をリセットする時間を作ってみてください。



