筋肉が硬くなるのは血行不良だけではありません|呼吸と筋肉の緊張の関係
「筋肉が硬くなっていますね」
整骨院や整体では、よく使われる言葉です。
しかし、
「なぜ筋肉が硬くなるのか?」
と聞かれると、
「血行が悪いから」
と考える方が多いかもしれません。
もちろん、血液循環は筋肉の状態と深く関係しています。
ただし、筋肉が硬くなる理由は血行不良だけではありません。
長時間同じ姿勢を続けること。
身体に力を入れ続けること。
呼吸が浅くなること。
運動不足。
精神的なストレス。
こうしたさまざまな要素が重なって、筋肉はこわばりやすくなります。
筋肉は酸素を使って働いています
人間の身体は、酸素なしでは正常に活動できません。
筋肉も同じです。
筋肉が働く時にはエネルギーが必要で、そのエネルギーを作る過程で酸素が重要な役割を果たします。
そして、その酸素を身体の各組織へ運んでいるのが血液です。
呼吸によって肺へ取り込まれた酸素は、血液によって全身へ運ばれます。
つまり、
呼吸。
血液循環。
筋肉の活動。
これらはそれぞれ別のものではなく、つながって働いています。
筋肉が緊張し続けると血流が低下しやすくなります
筋肉は収縮すると、内部の血管にも圧がかかります。
そのため、筋肉が長時間ずっと緊張した状態になると、その周囲の血流が低下しやすくなります。
例えば、
パソコン作業で肩に力が入っている。
スマートフォンを見ながら首が前に出ている。
家事で前かがみが続いている。
育児で抱っこの時間が長い。
このような状態が長時間続くと、
首。
肩。
背中。
腰。
などの筋肉が休む時間を失います。
その結果、
張る。
重い。
だるい。
痛い。
動かしにくい。
といった症状につながることがあります。
「酸欠だから筋肉が硬くなる」という単純な話ではありません
ここは少し注意が必要です。
筋肉が硬いからといって、
「筋肉が完全に酸欠になっている」
という意味ではありません。
また、
「深呼吸をすれば血液中の酸素量が一気に増えて、筋肉が柔らかくなる」
という単純な仕組みでもありません。
健康な方の場合、血液中の酸素は普段からかなり高い状態に保たれています。
そのため大切なのは、
酸素をただたくさん吸い込むこと
ではありません。
呼吸を通じて、
胸郭を動かす。
身体の力を抜く。
同じ姿勢を一度リセットする。
筋肉を動かす。
こうした変化を作ることが重要です。
デスクワークでは呼吸が浅くなりやすい
パソコン作業に集中している時、
気づいたら呼吸が浅くなっていた。
息を止めていた。
という経験がある方もいると思います。
集中している時は、身体も緊張しやすくなります。
すると、
肩が上がる。
首に力が入る。
お腹が固まる。
呼吸が小さくなる。
という状態になりやすくなります。
さらに前かがみになると、胸郭の動きも小さくなります。
すると、
呼吸が浅い。
身体が動かない。
筋肉に力が入ったまま。
という状態が続きます。
これが何時間も続けば、筋肉がこわばりやすくなるのは当然です。
呼吸では「胸郭が動くこと」も大切です
呼吸をする時、肺だけが単独で動いているわけではありません。
肋骨。
胸骨。
背骨。
横隔膜。
こうした部分が連動して動きます。
息を吸うと胸郭が広がり、
息を吐くと胸郭が小さくなります。
しかし、
猫背。
前かがみ。
肩が前に巻き込んでいる。
背中が硬い。
このような状態では、胸郭の動きも小さくなりやすくなります。
そのため、呼吸を整えるということは、
単純に酸素をたくさん取り込むこと
ではなく、
胸や背中をしっかり動かすこと
でもあります。
深呼吸は身体をリセットするきっかけになります
仕事や家事、育児の合間におすすめしたいのが、短い時間でも身体を一度動かすことです。
例えば、
一度立ち上がる。
大きく背伸びをする。
肩を回す。
胸を軽く開く。
ゆっくり息を吸う。
さらにゆっくり息を吐く。
これだけでも構いません。
特に大切なのは、
長く息を吐きながら、身体の力を抜くこと
です。
身体に力が入っている方は、自分が力んでいることに気づいていないことがあります。
ゆっくり息を吐くと、
「肩にこんなに力が入っていたんだ」
「お腹をずっと固めていたんだ」
と気づくことがあります。
呼吸だけですべての肩こりが改善するわけではありません
呼吸は重要です。
ただし、
「深呼吸だけですべての肩こりや腰痛が治る」
ということではありません。
筋肉の硬さには、
関節の動き。
神経周囲の状態。
姿勢。
運動量。
睡眠。
精神的なストレス。
過去の怪我。
さまざまなものが関係します。
そのため、症状が長く続いている場合には、
呼吸だけを見るのではなく、身体全体の状態を確認する必要があります。
当院では筋肉が硬くなっている理由まで確認します
当院では、
「筋肉が硬いから揉む」
だけでは施術を終わらせません。
なぜそこが硬くなっているのかを確認します。
関節が動きにくいのか。
長時間同じ姿勢を続けているのか。
呼吸が浅いのか。
身体に常に力が入っているのか。
神経周囲の動きが悪いのか。
身体全体を確認しながら施術を行います。
筋肉の硬さは、結果として現れているだけで、その背景に別の問題があることも多いからです。
「揉む」だけではなく「動かす」ことも必要です
筋肉が硬い時、
「とにかく揉めばいい」
と思ってしまいがちです。
もちろん、施術によって筋肉の緊張を和らげることは大切です。
しかし、
身体を動かす。
関節を動かす。
歩く。
呼吸をする。
こうしたことも同じくらい重要です。
筋肉は動くことで収縮と弛緩を繰り返します。
そして、その動きが血液循環を助けます。
そのため、
施術で身体を緩める。
↓
その身体を自分で動かす。
という流れが理想です。
まとめ
筋肉が硬くなる理由は、
「血行が悪いから」
だけではありません。
長時間の同じ姿勢。
筋肉の緊張。
運動不足。
呼吸の浅さ。
ストレス。
関節の動き。
こうしたものが複雑に関係しています。
そして呼吸は、
酸素を身体へ取り込むだけではなく、
胸郭を動かす。
身体の緊張を和らげる。
同じ姿勢をリセットする。
という意味でも大切です。
だからこそ、
仕事の合間。
家事の途中。
育児の合間。
ほんの30秒でも構いません。
一度背伸びをして、肩の力を抜き、ゆっくり深く呼吸する。
それだけでも身体を固めないための良い習慣になります。
身体を整えるというと、筋肉を揉むことばかり考えてしまいがちです。
しかし、
呼吸し、動き、血液を循環させること。
これも筋肉を良い状態に保つためには非常に大切です。
「筋肉が硬い」と言われた時は、
その筋肉だけを見るのではなく、
普段どのように身体を使っているのか。
呼吸が浅くなっていないか。
身体に力を入れ続けていないか。
そこまで一度振り返ってみてください。



