胸椎が動くと首・肩・腰が変わる?脊柱の中でも胸椎を重要視する理由
首が痛い。
肩がこる。
腰が痛い。
このような症状があると、どうしても痛みが出ている場所だけに目が向きがちです。
首が痛ければ首をほぐす。
肩がこっていれば肩を揉む。
腰が痛ければ腰を施術する。
もちろん、それ自体が必要なこともあります。
しかし、身体全体の動きを考えた時に、
首と腰の間にある「胸椎」が非常に重要な役割を持っています。
当院でも、頸椎・胸椎・腰椎すべてを確認しますが、その中でも胸椎の動きは特に重視しています。
胸椎とはどこにあるのか
胸椎は、背骨の中央部分にある12個の椎骨です。
首にある頸椎と、腰にある腰椎の間に位置しています。
そして胸椎には肋骨がつながり、その周囲には肩甲骨があります。
つまり胸椎は、
首。
肩。
肩甲骨。
肋骨。
腰。
これらの動きの中央に位置している場所です。
そのため私は、
胸椎は上半身の動きをつなぐ中継地点
のような存在だと考えています。
胸椎が硬くなると、首や腰が代わりに動きます
人間の身体は、どこか一つの関節が動きにくくなると、その不足分を別の場所で補おうとします。
例えば胸椎が硬くなり、背中が丸まりやすくなったとします。
その状態でも人間は前を見なければなりません。
すると、
首を反らして顔を正面へ向ける。
腕を上げるために腰を反る。
肩甲骨の動きが小さくなる。
といった代償が起こることがあります。
つまり、
胸椎が動かない分を、頸椎や腰椎が余計に動いて補っている
という状態です。
このような状態が長期間続けば、首や腰へ負担が集中することがあります。
首こり・肩こりと胸椎の関係
慢性的な首こりや肩こりがある方を見ると、
頭が前へ出ている。
背中が丸い。
肩が前へ巻き込んでいる。
胸椎が伸びにくい。
という状態になっていることがあります。
この場合、首や肩の筋肉だけをほぐしても、胸椎の動きが変わらなければ再び同じ姿勢へ戻ってしまうことがあります。
そのため、
首が痛いから首だけ。
肩がこるから肩だけ。
ではなく、
胸椎がきちんと伸びたり回旋したりできるか
を確認することが大切です。
腰痛と胸椎の関係
胸椎が硬いと、腰にも影響することがあります。
例えば身体を後ろへ反らす動作。
本来は胸椎や股関節など複数の場所が協力して動きます。
しかし胸椎がほとんど動かなければ、その分を腰椎が大きく動いて補うことがあります。
また身体を捻る時も、胸椎の回旋が不足すると腰や骨盤周囲へ負担が集中する場合があります。
そのため、
腰を施術しているのに何度も腰痛を繰り返す。
という方では、胸椎や股関節など周囲の動きを確認する必要があります。
肩の動きにも胸椎は関係します
腕を頭の上まで上げる時、動いているのは肩関節だけではありません。
肩甲骨も動きます。
そして肩甲骨がスムーズに動くためには、その土台となる胸郭や胸椎の動きも重要です。
胸椎が強く丸まった状態では、
肩甲骨が動きにくい。
腕を上げると首に力が入る。
腰を反って腕を上げる。
といった代償が起こることがあります。
つまり、
「肩が上がらない」
という症状でも、肩だけが問題とは限らないのです。
呼吸にも胸椎と胸郭が関係しています
胸椎には肋骨がつながっています。
そして呼吸する時には、
肋骨。
胸郭。
横隔膜。
背中。
などが連動して動きます。
胸椎や胸郭の動きが小さくなると、
胸が広がりにくい。
背中側まで呼吸が入りにくい。
呼吸時に肩ばかり動く。
といった状態になることがあります。
そのため胸椎の動きは、単なる姿勢だけではなく、
呼吸のしやすさ
にも関係しています。
現代人は胸椎が動きにくくなりやすい
現在の生活では、
パソコン。
スマートフォン。
ゲーム。
長時間の運転。
デスクワーク。
育児。
など、身体を前へ丸める姿勢が非常に多くなっています。
そしてその姿勢のまま、
長時間ほとんど胸椎を動かさない
ということも珍しくありません。
すると、
胸椎を伸ばす。
身体を捻る。
胸郭を広げる。
といった動きが少なくなります。
その結果、
「背中が硬い」
「胸が開かない」
「肩が動かしづらい」
と感じる方が増えてきます。
胸椎は単純に「胸を張ればいい」わけではありません
猫背になると、
「胸を張りましょう」
「背筋を伸ばしましょう」
と言われることがあります。
しかし、胸椎そのものが硬くなっている状態で無理に胸を張ると、
腰を反る。
肩を後ろへ引きすぎる。
首に力が入る。
といった別の代償が出ることがあります。
重要なのは、
見た目だけ背筋を伸ばすことではありません。
胸椎そのものが自然に動ける状態を作ること
です。
胸椎は「伸びる」だけではありません
胸椎の動きというと、
背中を反らす
というイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、
曲げる。
伸ばす。
捻る。
横へ倒す。
といったさまざまな動きがあります。
特に胸椎は、身体を捻る動きにも重要です。
歩く。
走る。
振り向く。
物を取る。
スポーツをする。
こうした日常動作の中でも胸椎は使われています。
そのため、
「猫背を治すために胸椎を伸ばす」
だけではなく、
さまざまな方向へ動けること
が大切です。
胸椎が最も重要という意味
医学的に、
「脊柱の中で胸椎だけが最も重要」
と決められているわけではありません。
頸椎にも大切な役割があります。
腰椎にも大切な役割があります。
骨盤や股関節、足部も身体全体に大きく関係します。
しかし臨床で身体を見ていると、
胸椎が硬くなったことで、
首。
肩。
腰。
呼吸。
姿勢。
これら複数の場所へ影響しているケースを多く経験します。
そのため当院では、
身体全体への影響が非常に大きい場所の一つとして、
当院では胸椎だけを見るわけではありません
胸椎が重要だからといって、
「すべての痛みは胸椎が原因」
というわけではありません。
例えば腰痛でも、
股関節。
骨盤。
足関節。
筋肉。
神経。
など、別の場所が大きく関係していることがあります。
肩の痛みでも、肩関節そのものに問題がある場合があります。
そのため当院では、
痛い場所。
胸椎。
頸椎。
腰椎。
肩甲骨。
骨盤。
股関節。
足部。
身体全体を確認しながら、どこが動きを邪魔しているのかを考えます。
胸椎を動かす簡単な習慣
胸椎は日常生活の中でも動かすことができます。
例えば、
椅子に座って身体を左右へゆっくり捻る。
両手を頭の後ろへ置いて胸を軽く開く。
深呼吸しながら肋骨や背中を動かす。
両腕を大きく上へ伸ばす。
こうした簡単な動作でも構いません。
ただし、
痛みを我慢して強く動かす。
勢いよく反らす。
無理に捻る。
必要はありません。
気持ちよく動かせる範囲で行うことが大切です。
まとめ
胸椎は、
首と腰の間。
肩甲骨の土台。
肋骨とつながる場所。
という身体の中心に位置しています。
そのため胸椎が動きにくくなると、
首が代わりに動く。
腰が代わりに動く。
肩甲骨が動きにくくなる。
腕が上げにくくなる。
呼吸時に胸郭が動きにくくなる。
といった影響が起こることがあります。
だからこそ、
首が痛いから首だけ。
肩が痛いから肩だけ。
腰が痛いから腰だけ。
ではなく、
その間にある胸椎がきちんと動いているか
を見ることが大切です。
脊柱のどこか一つだけが絶対的に重要というわけではありません。
しかし、
身体全体の動きや姿勢を考えるうえで、
胸椎は決して見逃すことのできない重要な場所
だと当院では考えています。



