五十肩は肩だけの問題ではない
脊柱・胸郭・肩甲骨との関係
「肩が上がらない」
「夜に肩が痛む」
「髪を結ぶ動作がつらい」
「エプロンの紐を後ろで結べない」
こうした症状があると、
多くの方は、
「肩そのものが悪い」
と考えると思います。
もちろん、五十肩では肩関節周囲に問題が起こります。
しかし実際に身体を見ていくと、
肩だけを見ていても、なかなか動きが改善しないケースがあります。
なぜなら、
肩を動かすという動作は、
肩関節だけで行っているわけではないからです。
五十肩とは何か?
一般的に「五十肩」と呼ばれるものは、
医学的には肩関節周囲炎と呼ばれることが多い症状です。
肩関節周囲の組織に炎症や拘縮が起こり、
- 腕を上げにくい
- 後ろに手を回しにくい
- 夜間に痛む
- 動かすと強く痛む
- 可動域が大きく低下する
といった症状が現れます。
ただし、
肩が痛くて上がらないからといって、すべてが五十肩というわけではありません。
例えば、
腱板損傷
石灰沈着性腱板炎
変形性肩関節症
頚椎由来の神経症状
などが関係している場合もあります。
そのため、まずは症状をきちんと確認することが大切です。
肩を上げる動作は「肩だけ」で行っていない
腕を上に挙げるとき、
実際には複数の関節や組織が同時に動いています。
主に関係するのが、
- 肩関節
- 肩甲骨
- 胸郭
- 胸椎
- 鎖骨
です。
つまり、
腕を上げるという動作は「肩関節+肩甲骨+胸郭+脊柱」の連動によって成立しています。
肩関節だけが大きく動けばいいわけではありません。
肩甲骨も動き、
胸郭も動き、
胸椎も伸展・回旋することで、
初めてスムーズに腕を上まで挙げることができます。
脊柱の可動性が低下すると何が起こるのか?
特に重要なのが、
胸椎の伸展と回旋
です。
胸椎が硬くなり、
背中が丸まった状態になると、
肩甲骨は動きにくくなります。
すると、
腕を上げるときに必要な肩甲骨の上方回旋が十分に出にくくなります。
その結果、
本来は肩甲骨や胸郭と分担して行う動きを、
肩関節だけで無理に補う
ことになります。
すると、
肩関節周囲の筋肉や腱、
関節包などに負担が集中しやすくなります。
「背中が丸い」と肩が上がりにくくなる理由
試しに、
背中を大きく丸めた状態で腕を上げてみてください。
次に、
少し胸を起こした状態で腕を上げてみてください。
多くの方は、
胸を起こした方が腕を上げやすく感じると思います。
これは、
胸椎が伸びることで、
肩甲骨が動きやすくなるためです。
つまり、
肩の可動域は「肩関節の状態」だけでは決まりません。
姿勢や脊柱の動きによっても変わるのです。
五十肩の人ほど「肩甲骨」で代償していることがある
五十肩で肩関節が硬くなると、
身体は何とか腕を上げようとします。
そのとき、
肩関節だけで動けない分、
肩甲骨を必要以上に動かして補うことがあります。
肩をすくめるように腕を上げたり、
身体を横に倒しながら腕を上げたりするのは、
その一例です。
これは、
本来動くべき場所が動かないため、別の場所が代わりに働いている状態
です。
こうした代償動作が長く続くと、
首や肩甲骨周囲の筋肉まで緊張しやすくなります。
肩関節だけを施術しても改善しない理由
五十肩の施術では、
もちろん肩関節そのものを確認することが重要です。
しかし、
肩関節だけをほぐしたり、
無理に可動域を広げたりしても、
脊柱や胸郭が硬いままであれば、
肩への負担が減らないことがあります。
例えば、
胸椎が伸びない
肋骨が動かない
肩甲骨が滑らない
鎖骨の動きが小さい
このような状態であれば、
肩関節だけにアプローチしても、
動きの改善が限定的になることがあります。
五十肩では「どこが動いていないのか」を見る
私は五十肩の方を見るとき、
肩だけではなく、
身体全体の動きを確認することが大切
だと考えています。
例えば、
- 胸椎が伸びるか
- 身体をひねれるか
- 肩甲骨が動いているか
- 肋骨が動いているか
- 鎖骨が動いているか
- 頚椎に問題がないか
こうした部分も確認します。
なぜなら、
肩関節は単独で動いているわけではないからです。
「脊柱が硬い=必ず五十肩」ではありません
ここは非常に大切です。
脊柱の可動性が低下しているからといって、
必ず五十肩になるわけではありません。
また、
五十肩の原因がすべて脊柱にあるわけでもありません。
しかし、
脊柱や胸郭の動きが悪いことで、肩関節への負担が増える可能性は十分にあります。
そのため、
五十肩を改善していくときには、
肩関節だけではなく、
身体全体の動きも見ていく必要があります。
「肩が痛いから肩だけ」は不十分なことがある
身体の痛みを考えるとき、
どうしても、
痛い場所=悪い場所
と考えがちです。
しかし実際には、
痛みが出ている場所と、
負担を作っている場所が別にあることがあります。
五十肩も同じです。
肩に痛みが出ていたとしても、
その背景に、
胸椎の硬さ
肩甲骨の動きの悪さ
胸郭の可動性低下
が関係していることがあります。
五十肩は「肩+脊柱+肩甲骨」で考える
五十肩を改善していくためには、
肩関節の動きを取り戻すことはもちろん大切です。
しかし、
それだけではなく、
胸椎
胸郭
肩甲骨
といった、
肩を動かすための土台を整えることも重要です。
肩を施術する。
肩甲骨を動かす。
胸郭を動かす。
脊柱の可動性を改善する。
こうした要素を組み合わせることで、
肩関節への負担を減らし、
より自然に腕を動かせる身体を目指します。
痛い場所だけではなく「なぜそこに負担が集中したのか」
五十肩という症状を見るとき、
重要なのは、
「肩が痛いから肩を施術する」
ということだけではありません。
なぜ、その肩に負担が集中したのか?
ここまで考えることが大切です。
肩は、
脊柱や胸郭、肩甲骨の動きと深く関係しています。
だからこそ、
五十肩を改善していくためには、
肩だけではなく、
身体全体の動きを確認することが重要
だと考えています。



