女性と子供のための整骨院

変形性股関節症なのにお尻が痛くなるのはなぜ?股関節前面の硬さと防御性筋収縮から考える臀部痛の原因と施術のポイント

  1. HOME
  2. お知らせ
  3. 変形性股関節症なのにお尻が痛くなるのはなぜ?股関節前面の硬さと防御性筋収縮から考える臀部痛の原因と施術のポイント

お尻が痛いからといって、お尻そのものに原因があるとは限りません

「股関節が悪いと言われているのに、最近はお尻が痛い」

「歩くたびにお尻の奥に違和感がある」

「お尻をほぐしても、なかなか楽にならない」

このような症状を訴える方がいらっしゃいます。

特に変形性股関節症を抱えている方では、股関節の付け根だけではなく、臀部や太ももなどに痛みが現れることがあります。

ここで大切なのは、痛みが出ている場所と、その痛みに関係している場所が必ずしも一致しないということです。

今回は、実際に当院へ来院されている患者様の症例をもとに、変形性股関節症と臀部痛の関係についてお話しします。


実際の症例|右股関節の変形があり、最近はお尻に痛みが出るようになった患者様

当院へ継続的に来院されている患者様のお話です。

この方は変形性股関節症を抱えており、以前から右股関節に痛みが出ることがありました。

しかし、最近は股関節への負担が増えたことも関係しているのか、右のお尻周辺に痛みを感じるようになったとおっしゃっていました。

来院された際には、歩行にも明らかな変化が見られました。

右脚に体重をかけることを避けるような歩き方になり、足を引きずるような状態だったのです。

このとき、単純に「お尻の筋肉が硬いから痛い」と判断するのではなく、股関節全体の状態を考える必要があります。

私が特に注目したのは、股関節前面、いわゆる鼠径部周辺の組織と動きでした。


変形性股関節症でお尻が痛くなる3つの可能性

変形性股関節症で臀部痛が現れる理由は、一つではありません。

① 股関節そのものから生じる関連痛

股関節の痛みというと、脚の付け根を想像する方が多いと思います。

しかし、股関節に由来する痛みは、鼠径部だけでなく、臀部や太もも、膝周辺などに感じられることがあります。

これを関連痛と呼びます。

つまり、お尻の筋肉そのものに大きな問題がなくても、股関節の病態に伴って臀部に痛みを感じる場合があるのです。

② 痛みから身体を守ろうとする防御性筋収縮

人間の身体には、痛みや不安定さを感じたときに、周囲の筋肉の活動を変化させる働きがあります。

その一つが、防御性筋収縮です。

例えば、足を痛めたとき、無意識に身体を固めたり、痛む方向への動きを避けたりすることがあります。

これは身体を守るための反応です。

しかし、このような反応が長く続くと、筋肉の緊張が強くなり、動作のしにくさにつながる場合があります。

股関節に痛みがある方でも、臀部の筋肉が過剰に働き、二次的な痛みや違和感に関係している可能性があります。

ただし、臀部の痛みがすべて防御性筋収縮によって起こるわけではありません。

③ 股関節の動きが制限され、臀部に負担が集中する

歩くとき、股関節は曲がるだけではありません。

身体が前に進むにつれて、股関節には伸展方向の動きも必要になります。

ところが、股関節の可動域が低下していると、歩行中に必要な動きを十分に確保できないことがあります。

その結果、骨盤や腰椎、周囲の筋肉が動きを補おうとする場合があります。

臀部の筋肉も例外ではありません。

股関節の動きが制限された状態で歩行を繰り返すことで、臀部周囲に負担がかかりやすくなる可能性があります。


なぜ股関節の前面に注目したのか?

今回の患者様では、臀部だけではなく、股関節前面の状態に注目しました。

股関節の前面には、腸腰筋をはじめとする筋肉や関節包、靱帯など、股関節の運動や安定性に関係する組織があります。

特に腸腰筋は、股関節を曲げる働きを持つ重要な筋肉です。

また、股関節前面の組織の柔軟性や関節そのものの状態は、股関節を後ろに伸ばす動きにも関係します。

股関節の伸展が制限されていると、歩行時に骨盤や腰部の動きで補おうとすることがあります。

そのため、臀部に痛みが出ている場合でも、股関節前面の可動性や筋緊張を確認する価値があります。

ただし、腸腰筋の硬さだけで変形性股関節症や臀部痛が説明できるわけではありません。

関節自体の変化、痛みの程度、筋力、歩行動作などを含めて評価することが大切です。


施術後、足を引きずっていた歩行に変化が見られました

今回の患者様には、股関節前面を中心に、周囲の筋肉や軟部組織の緊張、関節の動きなどを確認しながら施術を行いました。

もちろん、臀部の状態も確認しています。

しかし、痛みがある臀部だけに施術を集中させるのではなく、股関節全体の動きを考えながら対応しました。

その結果、来院時には足を引きずるように歩いていた患者様が、施術後には足を引きずらず、スムーズに歩けるようになりました。

これは非常に印象的な変化でした。

ただし、ここで一つ重要なことがあります。

施術直後に歩行が改善したことだけで、痛みの原因が股関節前面にあったと断定することはできません。

痛みの感じ方や筋肉の緊張、動作への不安など、複数の要因が変化した可能性があります。

また、変形性股関節症による関節の構造的な変化そのものが、施術によって元に戻ったわけではありません。

そのため、施術後の変化だけでなく、その後の歩行や痛みの経過も確認することが大切です。


痛い場所だけをほぐしても改善しないことがある理由

身体の痛みを考える際に、私は「どこが痛いか」だけではなく、「なぜそこに負担がかかっているのか」を重視しています。

例えば、股関節の動きが制限されている方では、周囲の筋肉が動作を補うために働いていることがあります。

この場合、臀部の筋肉を一時的にほぐしても、股関節の動きに問題が残っていれば、同じような負担が繰り返される可能性があります。

だからこそ、痛みのある部分だけではなく、関連する関節や筋肉の状態を確認することが重要なのです。

ただし、臀部そのものに問題があるケースもあります。

中臀筋や小臀筋の腱障害、腰椎由来の神経症状など、股関節以外の原因も考えられます。

「お尻が痛い=股関節前面が悪い」と決めつけないことも、同じくらい大切です。


股関節の痛みと歩行の関係

変形性股関節症では、痛みや可動域の制限によって歩き方が変化することがあります。

例えば、痛みのある脚に体重をかける時間が短くなったり、歩幅が小さくなったりする場合があります。

また、股関節周囲の筋力が低下していると、骨盤を安定させることが難しくなることもあります。

このような歩行の変化は、股関節だけでなく、腰部や膝、足首などにも影響する可能性があります。

そのため、股関節の状態を確認するときには、ベッド上での可動域だけでなく、実際に立ったり歩いたりしたときの動きも重要になります。


股関節の痛みが強くなった場合は医療機関での確認も必要です

変形性股関節症を抱えている方で、急に痛みが強くなったり、歩きにくさが増したりした場合には注意が必要です。

特に、

  • 急激に痛みが強くなった
  • 体重をかけることが難しい
  • 転倒後から痛みが続いている
  • 安静にしていても強い痛みがある
  • 発熱などの全身症状を伴う

といった場合には、整形外科での評価が必要です。

変形性股関節症があるからといって、新しく現れた痛みがすべてその影響とは限りません。

症状の変化を見逃さないことも大切です。


まとめ|臀部の痛みを考えるときは股関節全体の状態を確認する

今回の患者様は、変形性股関節症を抱えながら、股関節の付け根ではなく臀部に痛みを感じていました。

施術では股関節前面の状態にも着目し、結果として歩行に良い変化が見られました。

この症例から改めて感じたのは、痛みが出ている場所だけでなく、その痛みに関係する身体の動きや負担を確認することの重要性です。

股関節の問題によって臀部に関連痛が生じることもあれば、防御性筋収縮や歩行時の代償動作が関係することもあります。

もちろん、実際の原因は患者様によって異なります。

だからこそ、

「お尻が痛いから、お尻だけを施術する」

という考え方ではなく、

「なぜお尻に痛みが出ているのか」

という視点を持つことが大切です。

痛みの場所と、痛みに関係する場所は必ずしも同じではありません。

当院では、こうした身体全体のつながりを大切にしながら、一人ひとりの状態に合わせた施術を心がけています。